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誤報かと思った
信じがたい情報だった
植物園でいつものように、前線の情報を見る
そこに記されていたのは自由傭兵たちの戦果
すさまじい戦果だ。戦死者、ゼロ
「君が来る頃だと思ったよ」
背後から声。柔和な声は、いつものように静かに響く
ケイジキーパーNo.2《リヴ》
彼は、私の前に回り込んで、柳のようにゆらりと椅子に座る
テーブルを挟んだ向こう側で、明後日の方向を見ている
「何がしたいの」
「感想を聞きたくてね」
「まぁ、凄いんじゃない?」
《リヴ》は鋭い目でこちらを見た
何かを見透かそうとしている
そんな目だ
「直感を聞きたいんだ」
「そうね」
私は記事をテーブルに置いて、《リヴ》から目をそらした
植物園はいつものように緑と赤と黄色、少しの紫で彩られている
「作為的なものを感じる」
「ほう!」
《リヴ》に視線を戻す。まるで子供のように輝いた眼
「作られている。この戦闘は。いや、八百長というわけでもなく」
「分かる、分かるよ」
《リヴ》は十分だとばかりに立ち上がり、森の奥へと歩いていく
私は疑問を投げかけずにはいられない
「教えてくれ、この戦闘は一体何なんだ?」
《リヴ》が立ち止まる。振り返りもせず
「あえて言うなら」
森の空を見上げる《リヴ》
「作られたのは、戦闘だけじゃない」
「いや、あまり言うべきではない。嘘がバレてしまうからね」
「でも、嘘をつくのに疲れてきたのかもしれない」
「僕は《キィル》とは違う。こんな、嘘で固めた世界に……」
「なんの価値も見出していないからね」
まるで独り言のようにつぶやく《リヴ》
私は目を凝らした。彼の周囲が、ぱちぱちとひび割れていく
彼の向こう側に、何かが覗いた気がした
何かが……
「そう、作られたのは、《世界》だ」
何かが弾ける音がした
気づけば、去っていく《リヴ》の後姿はだいぶ小さくなっていた
先ほどまでの独り言は何だったのか
何かの幻覚だろうか
しかし、記憶にこびりつくのは、亀裂の向こうに覗いた世界――
植物園の全てが枯れ果て、錆で汚れ朽ちた船内が
一瞬、見えた気がしたのだ
>>next chapter3『潜入』
信じがたい情報だった
植物園でいつものように、前線の情報を見る
そこに記されていたのは自由傭兵たちの戦果
すさまじい戦果だ。戦死者、ゼロ
「君が来る頃だと思ったよ」
背後から声。柔和な声は、いつものように静かに響く
ケイジキーパーNo.2《リヴ》
彼は、私の前に回り込んで、柳のようにゆらりと椅子に座る
テーブルを挟んだ向こう側で、明後日の方向を見ている
「何がしたいの」
「感想を聞きたくてね」
「まぁ、凄いんじゃない?」
《リヴ》は鋭い目でこちらを見た
何かを見透かそうとしている
そんな目だ
「直感を聞きたいんだ」
「そうね」
私は記事をテーブルに置いて、《リヴ》から目をそらした
植物園はいつものように緑と赤と黄色、少しの紫で彩られている
「作為的なものを感じる」
「ほう!」
《リヴ》に視線を戻す。まるで子供のように輝いた眼
「作られている。この戦闘は。いや、八百長というわけでもなく」
「分かる、分かるよ」
《リヴ》は十分だとばかりに立ち上がり、森の奥へと歩いていく
私は疑問を投げかけずにはいられない
「教えてくれ、この戦闘は一体何なんだ?」
《リヴ》が立ち止まる。振り返りもせず
「あえて言うなら」
森の空を見上げる《リヴ》
「作られたのは、戦闘だけじゃない」
「いや、あまり言うべきではない。嘘がバレてしまうからね」
「でも、嘘をつくのに疲れてきたのかもしれない」
「僕は《キィル》とは違う。こんな、嘘で固めた世界に……」
「なんの価値も見出していないからね」
まるで独り言のようにつぶやく《リヴ》
私は目を凝らした。彼の周囲が、ぱちぱちとひび割れていく
彼の向こう側に、何かが覗いた気がした
何かが……
「そう、作られたのは、《世界》だ」
何かが弾ける音がした
気づけば、去っていく《リヴ》の後姿はだいぶ小さくなっていた
先ほどまでの独り言は何だったのか
何かの幻覚だろうか
しかし、記憶にこびりつくのは、亀裂の向こうに覗いた世界――
植物園の全てが枯れ果て、錆で汚れ朽ちた船内が
一瞬、見えた気がしたのだ
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