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霧の残像領域

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虚空のコラム『真紅連理《レッド・コネクション》』


破壊だ! 破壊しろ! すべては、海に浮かぶゴミの塵だ!
――レッド・コネクション《ガーネット少将》

真紅連理は、全ての市民の意思を統一し、完全なる社会を生み出すことを目指していた
連理の枝がどこまでも続く。一つになり、繋がり合う社会を

そして、その枝の向かう先は……

―――

真紅連理
第二艦隊旗艦、空母《ディープ・ラビットアイ》総司令
ガーネット少将

彼は苛立っていた
新世界秩序に、だ

18年が過ぎていた
15歳の少年だった彼が、大人になるほどの時間
社会は変わっていった
全ては、テイマーズ・ケイジを中心として

真紅連理の筆頭市民の息子として、何不自由なく暮らしていた彼は
15歳の時、初めての大きな失望を抱く
最強と信じていた
絶対と信じていた真紅連理
それが、テイマーズ・ケイジに降伏する姿を見たのだ

苛立ちは、そのころから途切れることはない
悔しいが、テイマーズ・ケイジは強かった

量産型ゴースト・グレムリンには、あらゆる通常兵器が通用しなかった
不可視の壁、ゴースト・シールドによって弾かれる砲弾
超常の転移でもって肉薄し、全てを無視して粉砕するゴースト・ブリンク

常識を超えた「力」を見せつけられた
苛立ちが募る
眉間には皺が寄り、戻ることはなかった

どうすれば勝てる?
どうすれば、戦況を覆せる?
グレムリンに対する、激しい嫉妬と、歪んだ羨望が彼を根本から変えてしまった
最終的に真紅連理はテイマーズ・ケイジの軍門に下った
そして、グレムリンを……
不完全ながらも、最強のグレムリンを
機能制限された、おもちゃのようなグレムリンを「譲ってもらった」

苛立ちは、とどまることはなかった

テイマーズ・ケイジの裏に見える「傲慢」が、どうしても許せなかった
来年、テイマーズ・ケイジは再び「グレムリン大隊」を招集するという
そして、世界を破滅に導いた七月戦役の「断罪」をするという

三大勢力や、中立であるグレムリン傭兵には関係ない、奇妙な祭り
裁かれるのは、自分たちであることは分かっている

足搔いてみせる

グレムリン傭兵……テイマーズ・ケイジより、機能制限解除グレムリンを与えられ
それでもなお、テイマーズ・ケイジや他の勢力に属せず
自由に生きる傭兵たち

彼らの力を借りねばなるまい

彼は苛立っていた
苛立ちを止めるために
全てを用意した

グレムリン大隊……不愉快な存在だ
テイマーズケイジ直属のエリートのみ選ばれた、ぎらついた勲章

彼は知っているのだ
真紅連理を降伏させた、最初のグレムリン大隊は、そんな奴らではなかった
本当の「力」であり、「破壊」だった

その威を借りて、肥え太っていくテイマーズ・ケイジが、何よりも不愉快だった

「見せてやる……俺の、真紅連理の『グレムリン大隊』を」

日は西に沈み、ほの暗い空には巨大な銀河が後を追って沈もうとしている

――何かが起こるな

すっと苛立ちが消え、彼はほくそ笑んだ



その引き金を引くのは、ほかならぬ彼自身だった


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