×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
メルサリアは千年の夢を見ていた
千年前…窒息戦争よりさらに前。ハイドラなき時代に、彼女は生まれた
企業連盟が発足したのも、その頃だった。巨大な企業カルテル、財閥の集合体。企業が支配する人々の暮らし。その頃の景色を見た者はいるだろうか
メルサリアは知っている。その景色を。そして、その景色を知る者を
千年前の話。”老いた”メルサリアは、最初の再起動を迎えた。10代の瑞々しさを取り戻した彼女は、まず最初に関節の動きを確認した
「軽い。痛くない。上々ね」
次に呼吸と、内臓の感触を確かめた。全てが好転していた。一列に並んだ女子社員たちが服を手に、全裸のメルサリアに服を着させる。そのまま研究室を後に、ホールへと向かう
「私には、一つの夢がある」
壇上で語る言葉を、予行練習。ホールへと入ったメルサリアは、万雷の拍手で迎えられる。やっと、やっと彼女はスタートに立ったのだ
メルサリアは夢から覚めた。最初の再起動から500年後、窒息戦争のさなか。メルサリアはいまだ影の中で夢を温めていた。再起動の回数は25回を数えた
「夢を温めすぎると腐ってしまうよ」
メルサリアの友人はそう言った
「わたしは好機を待っているんだ」
「どうして? 状況はどんどん悪くなるだけだよ」
ハイドラの時代が続いていた。夢の記憶は次第に薄れていく。情熱は消えていく。興味は移ろい、跡形もなくなる
ケーブルで結ばれたバディの機体に乗り込んだ、メルサリアと友人
「領域遮断噴霧器。素晴らしい仕上がりだよ。これを見ても、わたしの夢が色あせているとでも?」
ハイドラの背中で猛烈に噴霧を繰り返す、巨大な煙突
「夢見ているものに、夢の濃度は分からないよ。酔っているもの」
「そう。なら、永遠に酔っていたいね」
目覚めるメルサリア。覚めない酒はないように、目覚めぬ夢もない。死を超えたメルサリアに突き付けられた法則。企業連盟の支配者を決める戦いが始まろうとしていた
熾天使旅団、デスケル重工、ヒルコ教団、辺境自由同盟。空席となった企業連盟指導者の後釜に座るべく、世界中から候補者が集まり、次々とライバルを蹴落とし、最後に残った5つの勢力
「ようやく、ようやく夢が叶うんだ」
再起動の回数は20年に一度から、毎年まで間隔が狭まっていた
盗まれた研究資材
バイオクイーンの暴走
企業連盟の影の支配者
友人の言葉がいつまでも胸に残る
「ハイドロエンジンは失敗作だよ」
夢が、色あせていく
「お前の夢は、失敗作だ」
最初の言葉。そこから全てが始まった
「違う!」
最後に、メルサリアは目を覚まし、現実へ帰還した。余りにも多くの人生を渡り歩いたゆえに、多重構造の夢をよく見てしまう
領域殲滅兵器
その小型模型が、ベッドの脇に飾られていた
「夢じゃない」
取り戻した全てが、そこにあった
「わたしの夢は再起動する。何度でもね」
千年前…窒息戦争よりさらに前。ハイドラなき時代に、彼女は生まれた
企業連盟が発足したのも、その頃だった。巨大な企業カルテル、財閥の集合体。企業が支配する人々の暮らし。その頃の景色を見た者はいるだろうか
メルサリアは知っている。その景色を。そして、その景色を知る者を
千年前の話。”老いた”メルサリアは、最初の再起動を迎えた。10代の瑞々しさを取り戻した彼女は、まず最初に関節の動きを確認した
「軽い。痛くない。上々ね」
次に呼吸と、内臓の感触を確かめた。全てが好転していた。一列に並んだ女子社員たちが服を手に、全裸のメルサリアに服を着させる。そのまま研究室を後に、ホールへと向かう
「私には、一つの夢がある」
壇上で語る言葉を、予行練習。ホールへと入ったメルサリアは、万雷の拍手で迎えられる。やっと、やっと彼女はスタートに立ったのだ
メルサリアは夢から覚めた。最初の再起動から500年後、窒息戦争のさなか。メルサリアはいまだ影の中で夢を温めていた。再起動の回数は25回を数えた
「夢を温めすぎると腐ってしまうよ」
メルサリアの友人はそう言った
「わたしは好機を待っているんだ」
「どうして? 状況はどんどん悪くなるだけだよ」
ハイドラの時代が続いていた。夢の記憶は次第に薄れていく。情熱は消えていく。興味は移ろい、跡形もなくなる
ケーブルで結ばれたバディの機体に乗り込んだ、メルサリアと友人
「領域遮断噴霧器。素晴らしい仕上がりだよ。これを見ても、わたしの夢が色あせているとでも?」
ハイドラの背中で猛烈に噴霧を繰り返す、巨大な煙突
「夢見ているものに、夢の濃度は分からないよ。酔っているもの」
「そう。なら、永遠に酔っていたいね」
目覚めるメルサリア。覚めない酒はないように、目覚めぬ夢もない。死を超えたメルサリアに突き付けられた法則。企業連盟の支配者を決める戦いが始まろうとしていた
熾天使旅団、デスケル重工、ヒルコ教団、辺境自由同盟。空席となった企業連盟指導者の後釜に座るべく、世界中から候補者が集まり、次々とライバルを蹴落とし、最後に残った5つの勢力
「ようやく、ようやく夢が叶うんだ」
再起動の回数は20年に一度から、毎年まで間隔が狭まっていた
盗まれた研究資材
バイオクイーンの暴走
企業連盟の影の支配者
友人の言葉がいつまでも胸に残る
「ハイドロエンジンは失敗作だよ」
夢が、色あせていく
「お前の夢は、失敗作だ」
最初の言葉。そこから全てが始まった
「違う!」
最後に、メルサリアは目を覚まし、現実へ帰還した。余りにも多くの人生を渡り歩いたゆえに、多重構造の夢をよく見てしまう
領域殲滅兵器
その小型模型が、ベッドの脇に飾られていた
「夢じゃない」
取り戻した全てが、そこにあった
「わたしの夢は再起動する。何度でもね」
PR
コメント