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霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

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霧のコラム「ハイドラの心臓」
霧笛が遠く響いている。残像領域では聞きなれた音。出撃のサイレンの音。昼も、夜も休まることはない

一機のハイドラが霧のなかを潜り抜けてジャンク街に帰還した。装甲には弾痕。焼けた燃料の匂い。争いは日夜続く。
彼は他愛もない係争に駆り出され、命を懸け、その日を暮らせる程度の収入を得る

「やられたね」
整備士の中年女性がレンタル格納庫で彼を迎えた。操縦棺のハッチを開く。そこには空のコックピットと、世話しなく動くレバーとスイッチがあった

ハイドラの基本は操縦棺と9つの接続端子である。けれども、その外観は大きく異なる

操縦棺の構造について、きまった規格はほとんどない。ただ、HCS(ハイドラコントロールシステム)を搭載してある箱だ、というだけである。通信機で埋め尽くし、外部から遠隔操作する者もいれば、パイロットの代わりにAIを搭載して戦わせるものもいる

ただ、多くのライダーが操縦棺に乗り込むことを望む。そして機体の感覚を肌で感じることを楽しむ。それが戦いの熱が呼び起こした幻だったとしても

多くのものが霧の向こう……異世界から漂着するこの残像領域。けれども、ハイドラだけはこの世界に生まれ、この世界に育ち、この世界を蹂躙する

その多くは、自らの戦う意味さえ知らない

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