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霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

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霧のコラム「僕の心を癒して、それから」
回復という現象がある
ハイドラの機体が癒える現象である

今日も段ボールいっぱいの支給物がドックの荷物置き場にしこたまぶち込まれて通行不可能にしてしまう

これは組織からの支給物である。中身は全て同じの大量発注物。自分では選べない。これを組み合わせて、パーツを作る
ハイドラのパーツは訳の分からない仕組みで動く。骨と皮だけでできた腕、張りぼての頭、電源につながっていないFCS、さび付いたブースター
そんな動くわけのないガラクタが、HCS(ハイドラコントロールシステム)によって生命を吹き込まれる

まるで血が通ったように、原理も機構も無視して稼働する。そういう機体が多い。だからこそ、製作者は何も考える必要がないのだ。何も考えずに、適当に組み立てる

「今日も売れなかったよ」

遺影に向かって語りかける青年が一人。彼はいつもナノマシンばかり配達される。しょうがないので、ナノマシンの詰まった瓶をおまじないに入れて、パーツを作る

一般的に、回復機構は不人気だ

まず、戦果に直結しない。一人でのほほんと傷を癒していても、誰も褒めてくれない。そして、生き延びたいなら頑丈なパーツを組み込めばよい

誰もが彼を無視した。だが、彼のパーツを買ってくれたひとがいた

今では遺影の向こう側の彼女。駆け出しのライダーだった彼女

「いいんだ。君だけに買ってもらえたら、僕の一番はずっと君だけだ」

青年は笑い、ナノマシンの詰まった段ボールを器用にカッターで開封する。すると、そこにあったはずのナノマシンは、いつもと様子が違っていた

白い粉のナノマシンは、なぜか銀色に輝いている

「まるで月の光みたいだ」

新しいパーツのイメージが浮かぶ。シルバームーンのヘルメット。ガラクタのドームにナノマシンを振りかけて完成する。さらさらさらと、ナノマシンを振りかける

すると、目のあたりで銀の粉は光の筋を作った

「泣いているみたいだ」

ヘルメットに表情があれば、泣いていただろうか

「僕は泣かないよ」

ナノマシンはドックに流れ込んだ隙間風にあおられて、消えていく

「回復は僕の心を癒して、それから……あいつのことを思い出させるんだ。だから、僕は何度でも……回復できるんだ」


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