霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

ゼロのコラム『機械なる城』
スイッチを入れる
仕組みが作動する
そして、目的は達せられる

「シンプルなことなんだ」

彼は、静かに座していた
配線の張り巡らされた小部屋
そのすべてが、彼の城に行き届いている

まるで神経のように、ケーブルは伸びていた
その中枢
コントロールパネルであり
配電盤である場所が
この魔王領域である

彼は電気の魔法を操る魔王であり
そして、罠に長けた魔王でもあった

もうすぐ勇者がやってくる
勇者がやってくれば、戦いになる
しかし、彼自身剣を振るうことはない
こうして、遠くから罠を作動させて
全てを手中に置いたまま勝つ

「シンプルな、ことなんだ」

彼は負けが込んでいた
強力な罠にも弱点がある
それは、単に敵を撃退しただけでは評価されないということ

この階層は、全てを能力主義的に評価して、選別している
強いもの
優秀なもの
才のあるもの
そういったもの以外を振るい落としてしまう

勇者からお金を奪い取り、価値を生み出さねばならない
そのお金は、定期的に徴収されてしまう
払えなければ、手持ちの罠を売って賄わなければならない

そして、彼の投資に対して、収入はあまりにも少なすぎた
このままでは、何もできなくなる
何もできなくなって、地べたを這いずるように生きるほかない
どうすればいい?

「シンプルな……ことなんだ」

勝てばいい
全てを、掴み取ればいい
そして、自らを誇れるようになればいい

何が強い?
何が秀でている?
自分の才能とは?

自分自身に問い続けた
そして、答えはいつも同じだった

「俺は、機械だ」

勇者が近づく
見張り台がぴりぴりと震える
そこにあるのは瞬間移動の罠だ
瞬間移動の弊害、強力な通電効果を
逆に殺傷性強化し、罠として転用したもの
計算は完璧

強さってなんだ?
何が優れている?
才能?

そんなものは迷いだ
自分は機械となる

スイッチを入れる
それで、機構が作動する

それでいいじゃないか

勇者が近づく

彼は、スイッチを入れた
感電しながら一気にエントランスに叩き込まれる勇者
そのまま、連続してアラームの罠にかかる
遠くで勇者がバラバラになり、塩の欠片となって散った

美しい

機械は、美しい

それでいいじゃないか

スイッチを入れる
仕組みが作動する
そして、目的は達せられる

「シンプルなことなんだ」

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