長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です
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霧の濃い戦場において、レーダーによる探知は特に重要であった

しかし、我々のよく知るレーダーと違い、その索敵範囲は恐ろしく狭い。理由は残像現象と呼ばれる幽霊の仕業だ

残像領域は広大な世界であるが、その開拓は一向に進まない。それは遠く遠くへと探索に行くほど、その情報は不確かなものになるからだ。一か月かけて到達した場所の情報の信頼度はわずか6割ほどである。情報は刻々と変化し、その情報は噂話の影を残すのみである。まるで残像だけを捉えても全く無意味なように

レーダーでもその現象は顕著である。強力なレーダーでもって捉えた情報は、遠く遠くへ行くほど信頼性を失い、索敵範囲を超えるとそこは残像のノイズの世界となる

この残像の世界で確かなものはあるのだろうか。多くのライダーたちは、あると答えるだろう。毎週決まって通信に混線する何かのCM……まぁ、大抵はイワシヤマ動物園においでよとか、新しいアトラクションがクルシミランドにオープンしたとか、そういうCMやニュースが頻繁に通信に混線する。そんな場所など、残像領域のどこにもないし、流れるニュースはめちゃくちゃな虚報なのに

それでも、ライダーたちは確かなものを信じる。多くのライダーが経験するそれは、そんな混線の一つ。ライダーたちは何かを聞き、何かを知るのだ。混線のさなか、聞こえる声に導かれて霧の向こうに消えた僚機。楽しそうに誰かと会話する声が……死んだはずの戦友の声が聞こえる。逆境に打ちひしがれた自分を奮い立たせた、幼い自分の声。あの時聞いた音楽が、死の淵で流れ出す。無我夢中で戦う背後に流れるオーケストラ……

その理由に到達したものはいない。ただ、誰かが残像の向こう側であなたを見つめている。誰かが、あなたを信じていることを感じずにはいられない。時と場所を超えて通信機から漏れた誰かの叫びが、あなたを最後の最後で奮い立たせるのだ

そして、霧の向こうから探しているのだ。もう一度、立ち上がるあなたを

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