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千年前。

ハイドラの発見によって役目を終えたドゥルガーは解体され、そのすべてのユニットが残像領域永劫化要塞へと封印された。ただ、アンビエント・ユニットを除いて

「ドゥルガー大戦の爪痕は大きく……」

ノイズだらけの壊れかけTVに映るのは、無機質な企業連盟のロゴ

少女は一人、旅を続けていた。キャリーバッグに乗せた携帯テレビの声を聴き、風の音に耳を澄ませる。遠くを見る

霧に覆われた荒野だった

少女は荒野の以前の姿を覚えている。輝く摩天楼が地平線の向こうまで続いていた

「経済は神なき世の、新たな神となり……」

全て破壊された。ドゥルガー大戦によって。少女は覚えている。領域殲滅兵器の光を

1500連装マキシマ・スーパーウェポン反重波制御式デバステイター・ユニット

もはや、地上に存在するあらゆるものが存在できないほどの殲滅。ただ、ドゥルガーだけは違った。ドゥルガーを殺すために先鋭化した進化でもってなお、ドゥルガーの「正面装甲」を破ることはできない

少女は、視界の中霧と平らな地面しかない、気が狂いそうなほどの荒野を歩いている。顔を上げた。そこには唯一、彼女の行く手を阻む障害物があった

ドゥルガーの残骸だ

暗黒の四角柱が霧の彼方に消えるほど高く伸びている。幅は10メートルほど

正確には、ドゥルガーのハイドロエンジンが臨界を起こした跡である

「これで145個目」

誰に伝えるわけでもない呟き。そもそも彼女はしゃべらずにはいられない。沈黙が苦手だ。TVをずっとつけていなければ落ち着かない

「我々はこれより、新たな世界の黄金の担い手となり……」

TVの声。空を見上げる少女。手をかざし、誘導を行う。やがて領域殲滅軌道要塞からのトラクター・ビームによって霧が円形に吹き飛ばされ、残骸は抜き取られ、青空の彼方へと消えていく

「皆のもとへ、おかえり」

再び何もない世界。誰のためのものでもない言葉

「千年後の君は、もう誰かに迎えられているのかな」


丸く切り取られた青空には、真昼の月がぼんやりと浮かんでいた

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