霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

霧のコラム「次の日」
ガスマスクが苦しい
どこか詰まっているのかもしれない
ゴーグルが曇る
霧の粒子がまとわりつく

目の前に巨大な建造物
巨大な煙突から猛烈に霧を吹き出す

「領域遮断噴霧要塞」

彼はそれを見上げていた
世界を護るために、作られた建造物
その数、1万4321基
これが、聖魔領域を完全に霧の世界に変えてしまった

彼は覚えていた
かつての世界の姿を

摩天楼の立ち並ぶ、巨大都市群
今となっては、塵も残さず消し飛ばされた

1500連装マキシマ・スーパーウェポン反重波制御式デバステイター・ユニット
領域殲滅兵器の光によって

それは、世界を護るために作られ
その聖なる光でもって、世界を破壊しつくしてしまった

そして、無数の要塞が荒野に点在し、こうして……
瀕死の世界を維持している
残像となった世界を、消える前に

光によって消える前に、残された世界を

護らねばならない
彼は、こぶしを握り、要塞を背に歩き出した

やるべきことは山積みである

そのひとつひとつを解決し、
1000年かけて世界を維持し、再生させる

すでに、それを為すための勢力を作った
それこそが、生き残った企業であり
企業連盟であり
霧笛の塔であり
マーケットであり
アンビエント・ユニットであり
残像領域永劫化要塞であり
そして――

荒野に、箱があった
黒く切り取ったような漆黒の箱
無造作に箱の扉を開けて、内部に侵入する彼

潜り抜けた先は、静かなオフィスだった
そして、そこには、花瓶にひまわりを生けている彼女がいた

「世界は、どうだった?」
「1日2日では変わらないね、ただ……」

「ただ?」
「機械の眼は、案外いいものだ」

かつて、千里の視力を持った彼は
いまや視界をノイズだらけの電送情報に頼っていた

「美しい世界に、なるといいね」
「ああ」

全てを叶える力がある
全てを手に入れる力がある
シルエット・オーバーロードナイトの力によって

それは次元を超えて特異点に繋がり
全てをもたらす棺となる
なぜなら、水の流れるそこには、全てが叶う場所があるから

そこは、永久に眠り続ける霊場ゆえに
それは、棺となり、現世との扉となる

「全く、そう願うばかりだよ」

彼は、かつての癖で、機械のゴーグルをクイッと直そうとして……
手を掲げたまま、照れたように頭をかいた

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