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霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

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霧のコラム「銀河の高みへと」
空を蹴って進む。足場が無くなれば、脚部備え付けのブースターを起動する
霧の中を、どこまでも上昇する
たまに急降下し、攻撃する
だが、その上昇気流は、終わることはない

「どこまで行く?」
「銀河に手が届く場所まで」

2機のハイドラが戦場の片隅にいた。片方は地上で防衛戦。片方は、どこまでも高く

「俺を置いていくなよ。いつだって、大事な時にお前はいないんだ」
「わかってるよ、私はどこにも行かない」

ハイドラの脚部には、外付けブースターとは別に、内臓ブースターがついており、それを起動することでジャンプすることができるものがある

ハイドラの空戦能力は高い。空中の敵機にも熟練者は容赦なく格闘武器を当てていく。最初からそうだったわけではない。操縦棺が発見され、それを車輪やタンクに乗せていた時代もあった。やがて、残像領域の人々はHCS(ハイドラコントロールシステム)の奇妙な特性に気付く

HCSは人間の感情で、微妙な機体制御を行える

「私の心が銀河へ向かい続ける限り、私の機体はそれに応える。そして、どこまでも高く」

まず多脚が誕生した。ブースターを6基内蔵した、6脚の脚。それらは予想以上に、意のままに動いた
ブースターの向きを6本の脚が器用に制御し、空中で安定して姿勢を保つ。フライ・バイ・シナプスと呼ばれる理論。やがて生まれる二脚。そして、より空戦に適した逆関節へと進化は続く

「俺を置いていくなよ。ついていけそうにないよ」

地上機体の重装甲には、すでに無数の弾痕。それを見つける装甲戦車『アルマジロ』。この大型戦車はハイドラよりも重く、大きい

「やれやれ、ピンチだってのに、お前は俺の届かない場所にいる」

アルマジロの戦車砲がこちらに気付く。感情は無限ではない。意志は、万人に等しく与えられる力ではない。そして、窮地になるほど、人の感情と意志は見るも無残に押しつぶされる

それでも

「だからこそ、俺はここに立っていられる」

重装ハイドラの肩部が変形し、砲口を晒す。エネルギーの充填は終わっている!

まばゆい光! 放電コイルの稲妻が、アルマジロを黒焦げのスクラップに変える

「お前が空にいる限り、俺は地上のどこでも、お前を見上げて戦える」

上空で銀河を目指す軽量ハイドラが、ノイズを煌めかせて瞬いた
1か月前のことだった。彼女は高射砲の一撃を受けて地上へ帰ることはなかった。それでも、彼は、彼女の残像を見上げ、戦い続ける

彼は、残像を追いかけていた

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