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霧の残像領域

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霧のコラム「霊障」
霊障と呼ばれる現象が戦場で報告されたのは、ハイドラの運用と同時期のことであった

霊障は突然発生する。残弾を全て吐き出し、逃げるハイドラが……あるいは偶然接近する敵機に対応が遅れたとき、突然敵機に異常が発生し、事なきを得る

皆が皆偶然と思っていた。そもそもHCS(ハイドラコントロールシステム)の全容は全くわかっていないし、不具合も起こるだろうと。次第に、それは違う、ということが共有されていく

霊障は、起こせる

しかも、任意にだ

火器を搭載せずに戦場に乗り込んだ機体で、それは実証された。搭乗者の何らかの感情に対してHCSが起動していることが分かった。それに一番近いのは、孤独と不安、ということも分かってきた。戦う武器なくして戦場に立つ不安、そして孤独

それを救済するために、ハイドラは見えざる刃を振るい、搭乗者の不安や孤独を打ち消す。そういう仮説が立てられているが、まだそれが正しいと決まってはいない

疑似的にHCSを構築した小型ロボット……DRシリーズと呼ばれる機体がある。これはパーツの付け替えは不可能だが、疑似的に火器をコントロールし、ハイドラの武装を使用できるという、いわば劣化ハイドラである

最新式のDRで、霊障実験が開始されている。疑似HCSを搭載し、なんの火器も搭載しなければ、霊障が引き起こせるのではないか

実験はたびたび失敗し、テストパイロットは重度のPTSDに苦しめられただけだった。けれども、成功例は確かに存在する

ドゥルガーシリーズと呼ばれる、不気味な機体

そのデザインは、奇しくも不安を掻き立てるような異形の姿をしていた

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