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霧の残像領域

長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です

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ゼロのコラム『忘却の明日へ』
明日を感知するのは
いつも、今日の忘却から


記憶は流れゆく
昨日の自分は遠く去りゆき
いまの自分すら、砂のように零れ落ちる

彼女は魔王である
そして、猛り狂うように勝利を目指した

彼女は常に勝利を掴む
一度たりとも、負けたことはない

彼女は破壊の術を使う
勇者が魔王城を進むより早く
彼女の手下、サイキックが勇者に襲い掛かり
一瞬でバラバラに破壊し
塩の欠片と葬る

彼女は鉄の心臓を持つ
それは、溶鉄のように燃え盛り
時には氷のように冷たくある

「どうした、この程度か」

今日もまた勇者を塩の柱にした
他の魔王を狙う勇者すら射程に入れる
そうして、捕虜としてしまう
手にいれた捕虜は、マーケットで換金できる
いや、換金しなければならない

放っておくと勇者は復活する
勇者の魂を完全に破壊することはできない
静かなうちに、マーケットに払い戻すのが一番だ

というわけで、彼女は捕虜を……次なる勇者の影を求めた

配下のサイキックが、超常の力でもって索敵する

「いた」

電光のように駆け出すサイキック
勇者は意外にも近くにいた

壁だ

カーテンのように壁が下りている

その向こうは闇に隠れ何も見えない
ただ、地面を横に走るラインが、全てを飲み込み
こちらに向かって接近している

魔王城を荒らす前に撃退しなければならない
でないと、いきている勇者はこちらの捕虜を解放してしまう

一刻も早く

サイキックに指令を飛ばし、彼女は全神経を集中させた

いつからだろう
闘いの日々に麻痺していくのを感じる

勇者を探す
勇者を倒す
勇者を探す
勇者を倒す

繰り返していた
向上心はある
最強を目指して彼女は歩いている

けれども、急に寂しさを覚えた
この戦いに意味はあるのだろうか

勇者はどうせ倒しても復活する
稼いだ金は、城の維持費に消えていく

欲しいものは何もない
飲みたい酒もない

ただ、戦うために戦い
戦うために全てを勝ち取り
戦うためにすり減らしていく

「いやだ」

どこかでレールを抜け出したかった

勇者はサイキックを飲み込むべく接近している
ここで勇者を破壊しなければならない

彼女は敗北を思った
ここで頑張るのをやめて
全てを捨てて
遠くへ行って

静かに眠ろう

そう思うと、視界が涙で歪む
結局、戦った果てに手にいれたものは何だったのか
自分を追い詰めて、追い詰めて
何も手にいれたものはない

忘れよう

すべて忘れて

ただ生きるだけの存在になって――


何をしようか


何でもできる


何にだってなれる


じゃあ――


「私は、それでも、お前を倒す!」

サイキックが稲妻を迸らせる!
それは黒い壁に吸収されていく
まだ、威力が足りない

「ならば、数で攻める!」

サイキックが次々と現れ、黒い壁に向かい
一斉に電撃を放つ!

闇が風船のように膨らんだかと思うと
次の瞬間、七色の紙吹雪を吹き出して破裂した
そして、断片は全て塩の結晶となり、地面にばらまかれる

結局は、同じなのだ
何度やり直しても
何度後悔しても
何度スタートラインに戻っても

結局は、彼女は戦い続ける
それが、彼女の生き方なのかもしれない

いずれにせよ……

彼女は前を見た
今まで何を掴んできた?
そんなものは関係ない
忘れていけばいい

答えはいつも、同じところから始まっているのだから


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