長文を流したいけど皆さんのTLを汚したくないときに使う場所です
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バイオスフェアは広い草原の中心にぽつりと立っている
まるで忘れられたあばら家のように、石造りの小屋が立っているだけだ

それでもなお、要塞として機能するには理由がある
進めないのだ。そこから先へ

近づくものすべてを攻撃するバイオ兵器が、そこら中に眠っている
そう、それこそがバイオスフェアの防壁である

そして再起動によって活性化したバイオスフェアは大きく姿を変えていた
草原は失われ、代わりに現れたのは巨大な密林

残像領域に、植物はほとんど生えない
それは冷涼とした気候に加え、太陽の光を遮る霧が立ち込めているからだ

かつてバイオスフェアに挑んだ冒険家がいた
もちろん、コクーンの出現する前、再起動よりさらに前である

彼はハイドラを駆り、バイオスフェアへと侵入した
バイオスフェアは縦の構造を取る
巨大エレベーターを中心として、まるでアリの巣のように張り巡らされた倉庫への道
バイオスフェアに眠る遺産を夢見て、彼はエレベーターを降りて行った

ノイズ
そして、届くはずのない通信

恐る恐る回線をつなぐと、少女の声が聞こえた
まだ10代だろうか、甘さの残る声だ

「私の記憶を、バイオスフェアに残しておく。これで何度目か分からない。今度こそ成功する。多分、ここまでこれたのは私だろうから、聞いているのは私だと思う。じゃなかったら、私の夢を継いでほしい」

幽霊ではなかった。残存電波だ。電離層に向かって放射した特殊な電波は、電離層そのものを震わせ、記憶として残り、一定の周期で、真っすぐ電波を返す
記憶の元は、このバイオスフェア上空から放たれてエレベーターに差し込んでいた

バイオスフェアの構造を理解した者の遺産だ。冒険家は「夢を継ぐ」という言葉に胸を高鳴らせた。少女が語る夢を聞きながら、彼はバイオスフェアの奥へと侵入していった

彼は、言葉に従って、一つの夢を持ち帰った。誰にも言わなかった。それは、少女の言いつけを守った形になる。幸い、夢は彼のハイドラにドッキングする形で持ち帰ることができた。他にもたくさん違う種類の夢が転がっていたが、数が多すぎて断念した

冒険家は静かに、電波のチャンネルを合わせながら、彼女の声を拾っていた
バイオスフェアを離脱し、夜間飛行で「今」の彼女の元へ向かう

「まるでデートだな」

甘い彼女の声を聴きながら、自動操縦に切り替えて、ぬるいコーヒーの缶を開ける。彼女の語る夢は美しく、彼もまた深く共感した

アラームが鳴る。遠方に機影

「民間機かな、こっちは女の子とデート中なんだ。邪魔をしないでおくれ」

次の瞬間、警告音

反応する間もなく、彼の機体は撃墜された
黒煙を上げて、荒野に横たわる機体。今の彼女は、それを見ていた。スタッフが機体を調査している。乗員は死亡。だが、夢は大きくその形を残していた

「ミスト・アベンジャー……」

彼女は彼の機体名を静かに繰り返した。忘れることのないように、何度も。

夢は、その後、数奇な運命を辿る
当時はまだ研究資材であったその名は、「領域殲滅兵器」という夢だった

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