-
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
-
……
「グレムリンは最強の兵器だ」
整備士が言う。ドックの中には彼と私しかいないので、てっきり話しかけられたのかと思ったがそうではないようだ。整備士は自分に言い聞かせるように言う。そう、このグレムリンを見上げて。グレムリン……発掘され、解析された、驚異の兵器。
「こいつの可能性は、無限に続いている」
このグレムリンは確かに強い。強すぎる。現行の兵器では全く相手にならない。軍艦の主砲は当たる前に謎の壁に阻まれ弾き飛ばされる。いや、当たる前にすさまじい機動力で反対側へと駆け抜けてしまう。ドローンや他の小細工は全て同様に蹴散らされる。もはや無敵だ。七月戦役で見たのは、一方的な蹂躙だった。テイマーズケイジのゴースト・グレムリンはそれほどまでに強すぎた。強すぎたのだ。
「おれはグレムリン大隊を目にしたとき、そう心底思ったよ」
私はピクリと眉をあげた。彼の家族は七月戦役でグレムリンの放った術導砲に巻き込まれて死んだと聞いていた。いや、あの七月戦役でケイジに属していない人間なら、誰しもが……グレムリンの脅威にさらされて、被害を受けたはずだ。考えても仕方のないことだが。
「今日も、テストかい? 整備は完璧に終わってるぜ」
「いや、単にダストの顔を見に来ただけだ」
鏡のようにのっぺりとした頭部。その下に、乱杭歯の醜い顔があることは知っているが、なかなかにスマートな顔つきである。私は戦いの中で、このダスト・グレムリンに近づこうとしている。知ろうとしている。そして、分かろうとしている。
「いつもと変わらん顔だ。帰る」
「おっと、カザミサ。今日は出撃命令が出ているはずだが」
「キャンセルだ」
――直感を信じろ、と言われていた。直感が思わしくなければ、何をしてもいいと言われていた。出撃拒否も、半信半疑だが、以前試したら通った。不思議である。
特別。
例外。
異端。
私も、このダストも全てが規格外だ。だから、私はそのようにする。私の選択が正しいかどうかは分からない。ただ、直感を信じろと言われたので信じる。それだけだ。
次の日、ドックに向かうと見知らぬ女がいた。整備士の格好をしているのだから整備士なのだろう。
「いつもの整備士はどうした?」
「ああ、彼なら処刑されました」
「なん……?」
聞けば、ダスト・グレムリンに細工をした罪に問われたという。あのまま出撃したらエンジンが暴走して爆死していたかもしれない。そう聞かされて、ただ茫然とするほかなかった。
彼はきっと、グレムリンに恨みを抱いていたのかもしれない。あるいは、絶対に死ななない私を試したかったのかもしれない。それはもう分からない。ただ……。
ダスト・グレムリンを見上げる。
彼はいつものように、笑っているようだった。
>>next sectionBPR -
……
どこへ向かっているのだろう。人は、必ず目的があって行動する。到達する場所があるということだ。しかし、今の私は、まるでランダムに漂うブイのように頼りない。これでは、どこへも到達できない。
未識別兵器群……世界の脅威。どこからともなく現れて、全てを破壊していく。そして、その黒幕も理由も分からない。狂気によって一方的に殴られ続けている。私は、そういった奴らの掃討に駆り出されていた。テイマーズケイジの仕事だ。
きりがない。どこからともなく湧き出す敵を、次々と撃ち落としていく。徹甲速射砲のサイトに捉え、撃つ。デュアルサイスの間合いに近づき、斬る。ルーチンワークだ。退屈な、掃討だった。敵はそのたびにこちらを学習し、機体を改良してくる。それでも敵わない。この私には。
いや、ダスト・グレムリンには。
「この戦いに意味はあるの?」
「世界を護るために、必要です」
「護って、護り続けて、そこに勝利はあるの?」
「世界の維持なくして、勝利はありません」
無感情に告げるTsC(テイマーズケイジ)のオペレーター。世界は疲弊していた。終わりなき戦いに全ての勢力の全力をもって戦っても、なお終わりは見えない。そして、物資や人員、資源、領域はじわじわと削られている。
そしてそれは、七月戦役の傷跡癒えぬ世界には、重すぎる任だった。傭兵たちは金が舞い込んできて潤っているかもしれないが、それはいつまで続くか分からない。
「私はさっさとたどり着きたい」
「どこへ?」
「ゴールに、よ」
敵勢力の全滅を確認。ただ、明日には復活している。以前よりも、強くなって。どうしようもない。根本的な発生源の糸口さえ掴めない現状では、削り殺されるだけだ。
「その機体さえあれば、我々はたどり着けます」
「どうやって」
こうして、無限に敵を叩いているのに、一向にそんな気配はない。オペレーターは珍しく、くすくす笑った。
「虚空領域を永劫化して、救済される、ということです」
「またそれ?」
この専属オペレーターも、No.2も、全く自分の介さぬところで訳のわからない陰謀を企んでいるようだ。それでも、任務だから乗るしかない。気に食わなくとも、なびくほかない。
自分にはゴールが見えていない。この掃討の結果、どうなるかすら。とりあえず、言うことを聞くしかないのだ。その結果、どうなるだろう。
私は幸福になるのか、不幸になるのか、何も変わらないのか。まったく掴めない。ランダムに漂うブイ。それがたまらなく居心地が悪い。オペレーターやNo.2は、到達点が見えている。
「とりあえず、戦えばいいんでしょう」
「正答です。カザミサ。さぁ、戦いましょう」
戦いの果てに、何が待っているのだろうか。
マシンが悲鳴を上げたように軋み、すさまじい動きで突撃を開始する。敵の第二波だ。これも全滅させればいい。私はどこまでも無感情だった。
ただ、
このマシンは……ダスト・グレムリンは、
まるで笑っているようだった。
>>next chapter2 『グレムリン』
-
……
いつまでも到達しないのは苦手だ。いつかは辿り着いてほしい。できれば早く。誰もがそう思うだろう。そして、私もそうだ。しかし、全速力で行けるかというと、そうではない。ひとは、どこが最短距離か掴むことは難しく、体力は有限だ。
「見定めなければならないな」
私はそう思いながら、この植物園の中にいた。心地よい日差しがガラスの天井から降り注ぎ、奇妙な植物の群生を照らしている。たしかに、最高の瞬間だろう。花の香り、湿度の高い空気。木々の匂い。生命に溢れた場所だ。そして、ここに入れるのは限られた人間のみ。優越感、至福の感情が沸き上がってもおかしくはない。私以外は。
「カザミサ。不服そうだね」
一人の男が草を踏みわけながら歩いてくる。私はこの男をあまり知らない。一つ言えることは、この男の名はケイジキーパーNo.2《リヴ》。テイマーズケイジ中枢に名を連ねる男。それ以外は、よくわからない。納得はできない。こんなところに呼び出しておいて。
「植物に興味はないです」
興味があるのは、もっと心を輝かせる何かである。決して、こんな緑の湿った静かな生き物ではない。No.2は――《リヴ》というのはあまり呼ばれる名ではない。皆彼をNo.2と呼ぶ――は、隣に生えている大きな草よりも頼りない痩身を、まるで木の葉のようにひらひら動かしながら大げさにジェスチャーした。
「ああ、何たることだ。ここの植物たちは、コンテナからかき集められた種子を幾重にも連なる研究でもって発芽させた、奇跡の――異世界の生き物だというのに」
「興味はないですね。食べられるのなら、味は気になるけど」
雑談に興味はない。見定めなくてはならない。最短距離をだ。すなわち、無限の果てに見える世界を。
「今日のご用件は何でしょうか」
「そう他人行儀にならなくてもいいよ。選ばれた君には、選ばれたなりの――力がある」
No.2はシャツの胸ポケットから一つのカードを取り出し、私に手渡した。それは銀色に輝いていた。ただの金属のプレートに思える。表面には、9999の刻印。なんの意味があるのかはわからない。No.2は、その疑問に答えてくれた。
「ダスト・グレムリンのライセンスだ。正式に発行された。表面の刻印は君のFPだ」
「FP……」
フェイタルポイント。運命到達点。死への距離を表したものだという。No.2はいつものようにニコニコと笑って、ひらひらと舞うようなジェスチャー。
「君は絶対に死なない。ダスト・グレムリンに選ばれたのだから」
私はぎょっとした。No.2が一瞬酷く悲しそうな顔をしたのだ。見間違いだろうか。いまは、ニコニコとしている。
「何なんです?」
「何が?」
「ダスト・グレムリン」
No.2は困ったような顔をした。言葉を選んでいるのだろうか。しばらくの沈黙。鳥の鳴く声。植物園の住人だろうか。やがて、徐にNo.2は口を開く。
「虚空領域永劫化――まぁ、つまりは、この世界を……」
「世界を?」
「永遠にする、ということだよ。虚空領域は永遠になる」
意味が分からないが、ひとつの兵器がそのようなことを可能にするというのだろうか。そのとき、No.2が何かを呟いた。聞き間違いだっただろうか。
「いま、なんて?」
「いや、何でも。ただ、これは契約違反なんだけど、フェアじゃないと思ってね」
「何のことか分かりません」
「分からなくていい。いまは。言葉は遅延して届くはずだ。僕がいなくてもね」
また何を聞いてもはぐらかされそうな気がして、私は口をつぐんだ。No.2はにこりと笑って、その場を後にした。先ほどの呟きが、渦巻いていた。
《君も永遠になる。君以外の全てを到達させることで》
到達……死をも意味する言葉。そんなことはないと思うほかない。自分以外の全てが……死ぬことなどないのだから。
>>next sectionC -
……
たどり着く場所がある。私には、いつか、辿り着く場所が。だが、それがどこかはまだわからない。分からないまま歩き続ける。歩き続ければ、いつかたどり着く気がする。そう、無限に等しいほどの時間をかければ、たどり着けない場所などない。
そう信じている。私はただの人間であり、滅びゆく世界に滅びゆく身体を持って生まれた。誰もかれもが、滅びに向かって歩いている。そしてどこにもたどり着けないまま、不本意な死の終着点で旅を終える。私は、まだたどり着けそうにない。
私は、共に歩む少年の影を追い求めている。彼と一緒にたどり着けたら幸せだろう。彼は、いつも私のことを見守ってくれていた。そして、微笑んでくれた。だから、彼にも見せてあげたい。私のたどり着く場所を。その展望を。私は予見する。素晴らしい眺めを。いつか見るはずだ。漠然と、そんな希望を抱いている。
しかし、いま、私の隣に少年はいない。ずっと昔に別れたままだ。どこで何をしているか、生きているか死んでいるかも分からない。けれども、彼も歩き続けているだろう。そう信じている。いつか、出会うはずなのだ。無限に歩き続ければ、いつか巡り合う。そして、たどり着く。
見たい景色がある。世界で、一番美しい瞬間だ。私のたどり着く場所というのは、そういった場所だ。なんのために生きるのか。その答えだ。人生で、必ず巡ってくるだろう。人生最高の瞬間というやつだ。私はそこにたどり着きたい。私が生きた中で、最高に美しく輝く瞬間だ。そして、誰よりも美しいものを見たいと思う。だから私は、無限に生きて、無限の中で最高の瞬間、無限の頂点を見たいと思う。
そのためには、無限に生きる必要がある。
だから、私は――ダスト・グレムリンのテイマー選別試験に挑んだ。
そして……選ばれたのだ。
……
Gがかかる。グレムリンの急速発進は慣れないものだ。カタパルトで射出された機体が、重力を捉えてどこまでも飛んでいく。
良く晴れていた。高濃度粉塵の姿はなく、珍しく水平線まで見渡せる。テイマーズケイジ、第七航空戦隊、六番機。決して偉い序列ではない。グレムリン航空戦隊の末席。それが、教室の窓際の席のように心地よい。それは、ダスト・グレムリンへの素養を認められても変わらなかったことが、秘かにうれしかった。
「眼下に海が見えるよ」
「海なんてどこにもあるだろう」
管制の声も気にせず、いつものセリフを言う。海を見下ろすのは好きだ。私は、いつも海を見ている。あの時もそうだった。私はシルエット・グレムリンに乗り、選抜試験を受けた。そして……トラブルはあったものの、無事帰還し、素養アリと告げられた。
今はこうして、ダスト・グレムリンに乗っている。この機体に乗るためにテイマーズケイジに入ったのだが、面白いように話は進み、そしてこうしてダスト・グレムリンに選ばれている。挑んだ同僚は100人弱。ケイジの外にも募集をかけ、1000人は集まっただろうか? とにかく、狭き門だった。
「ダスト・グレムリン。異常なし。アルファからフォックストロットまで全パーツ、正常機能」
「よろしい、今日はこのまま帰還だ。いいデータが取れた」
「帰るの早い」
「ああ、またハイドラが出たらたまらないからな」
「ハイドラ……」
あのとき、現れた謎の未確認機。ニヤリと笑い、唇を舐める。
「また撃破すればいいじゃない。あの時のように、何度でも」
「バカ言うな、あんな奇跡何度も起こせるか。ミサイルを全弾避ける。的確に関節を狙う射撃。最後は背中を切りつけて撃破。目を疑ったよ。お前単騎だぜ」
「できるさ」
できるはずだ。私は無敵だ。わたしは不滅だ。だって、まだ私はたどり着いていないのだから。しかし、なぜだろう……あの時、ハイドラを撃破した時に感じた、強烈な空虚は。私の全てを食らいつくすような、空虚。
いつか分かるかもしれない。ハイドラは強い。いつか再びまみえるだろう。無限の旅の途中で、幾度となく。
「6番機カザミサ。これより帰還する」
大きく旋回して、私は眼下の空母を目指した。
空は奇妙なほど晴れていた。あの時の霧を感じさせないほどに――。
>>next sectionB -
ポコポコポコポコ(ドラミング音)
ようこそ、ゴリラの世界へ
この世界に適応するために
すなわち、ゴリラとなるための
方法を伝えよう
やがて君は体得するはずだ
最強のゴリラウェーブ(注1)を……
注1:ゴリラウェーブ。コンビニ戦争で発生したイベントであったが、何の意味があったのか不明
ゲームで勝つために、ひとは戦術を練り
目指す世界、ゴリラ領域
そして、
勝利を掴んでいく
ところが、GsGにはスキルも何もない
何を設定してどうすれば勝てるか
少しわかりづらいかもしれない
目指すものは一つ
ゴリラ領域だ
ゴリラ――圧倒的力の体現者
つまり、圧倒的力こそが
この世界の勝利の条件なのだ
何をすればゴリラになるか
ここに5匹のゴリラがいるじゃろ?
耐久ゴリラ
出力ゴリラ
機動性ゴリラ
連動性ゴリラ
信頼性ゴリラ
じゃ
それぞれに勝利条件が
異なるぞい
つまりこれらのステータスを伸ばすことが
勝利への近道ということ
ひとつずつ説明しようかの
耐久ゴリラ
この類の機体は
耐久を伸ばした頑丈な機体ということになる
えっ耐久を伸ばすだけで勝てるんですか!?
勝てる。勝てるのだ耐久を伸ばすと何ができるか
ひとつは、防衛戦果を稼げる、ということ
防衛戦果は攻撃を受けたとき
耐久が高いほどポイントがたまる
このポイントを高めれば、防衛戦果で勝てるということ
必要なサポートパーツは二つ
一つ、耐久の高いパーツ
一つ、迎撃性能のあるパーツ
耐久の高いパーツは重量が重いパーツである
場合が多い
重量が重いと耐久が上がるからね
迎撃性能は主に耐久や連動性の
高いパーツに設定されている
これらのパーツを集めることが勝利への近道だ
機動性ゴリラ
この類の機体は
機動性の高い素早い機体ということになる
速さ=パワー!
分かりやすい式であろう
機動性はモロに行動回数に影響する
機動性が高いほど多く行動できる
支援戦果や攻撃戦果は行動を起こすことで集められる
これは強いステータスであろう
必要なパーツの条件は機動性の高いパーツだが
機動性はある方法を使えば、どんなパーツも素早くなる
すなわち、
軽くて消費の大きいパーツである
重量が少なく消費が大きく、その差が大きいほど激しく加速する
そういうパーツは広域出品によく転がっているはずだ
探してみよう
誰もが必要としているはずだ
連動性ゴリラ
これは少しテクニカルなゴリラだ
連動性は相手のアクションに重くて鈍重、しかし素早くカウンターする機体ができるわけだ
連動して行動を起こすことができる
つまり、反撃やカウンター
迎撃をイメージしてほしい
連動性を高めることで
確実に反撃や対抗射撃を起こすことができる
連動性は消費が大きいほど向上する
しかし、機動性のような重量によるペナルティはない
つまり、
耐久が高く攻撃に耐えられ
迎撃性能を持ちターゲットを集め
かつ連動性の高いパーツが求められる
必要とされるものが多いので
少し難しいかもしれない
ただ、耐久型のサブステータスとして
伸ばしておくと
強いかもしれない
出力・信頼性ゴリラ
生息数が少なく、無視して構わない
まとめ
いかがだっただろうか
何をしていいか分からない
そういうとき
3つのゴリラが君を導く
耐久に振るか
機動性に振るか
ついでに連動性も高めるか
最初はそれだけを考えればいい
やがて火力や索敵にも
興味が出てくるだろう
その時はまたレクチャーしよう
ゴリラの生き方というものを